日本は小さな島国とはいえ昔から独自の文化は数多く残っており、日本全国に視点を広げると知らない祭儀がたくさんありますよね。
知らないお祭りを少しずつ知っていくうちに、日本のことをも深く知っていくことができているように思います。
今回はそんな日本の多くのお祭りごとの中から、「新嘗祭」について掘り下げてみましょう!
Contents
新嘗祭の意味や由来
「新嘗祭」と書いて「しんじょうさい」もしくは「にいなめさい」と読みます。
なかなか見慣れない漢字なので、一見しただけでは読めないという方も多いのではないでしょうか。
新嘗祭は宮中儀式のひとつで、1年間の五穀豊穣を神様に感謝するという意味があります。五穀豊穣とは、当時主食とされていた5つの穀物(米・麦・粟(あわ)・豆・黍(きび))が豊かに実り収穫できること。その昔日本は農業国家だったため、一年間の収穫量はそのまま国の蓄えに直結していました。そのため一年間の収穫に感謝する儀式はとても重要視されていたのです。
秋に行われる宮中祭祀は、天皇陛下が国と国民の安寧と繁栄を祈るための行事で、特に大切な祭祀とされていました。その中の一つである新嘗祭。起源は明らかになっていませんが、日本書紀によると飛鳥時代から始まったとされています。
実に遠い昔から伝わる、伝統的な行事だという事がわかりますね。長い間価値観を変えることなく祈り続けるこの儀式。とても奥ゆかしく感じます。
新嘗祭の日程と行事内容
新嘗祭の読み方が分かったところで、この日に具体的に何が行われるのか見ていきましょう!
いつあるの?何をするの?
新嘗祭は毎年11月23日に行われ、宮中祭祀ではありますが今では全国各地の神社で収穫祭が催されるようになりました。
主な行事の内容についてですが、天皇がその一年に穫れた新穀を天神地祇(すべての神様)にお供えになり、神の恵みによって今年も収穫ができたことを感謝します。そして新穀を神々にお供えになった上で天皇御自らもお召し上がりになります。こうしてその一年の五穀豊穣に感謝し、翌年の国家繁栄と五穀豊穣も祈ります。
勤労感謝の日と新嘗祭
11月23日というと、現在は「勤労感謝の日」という祝日になっていますよね。実は勤労感謝の日と新嘗祭には密接な関係があります。というのも戦後になって新嘗祭は天皇行事から外されることになりましたが、形を変え「勤労感謝の日」に改められたのです。農業国家であった日本が五穀豊穣を感謝したのと同じで、現代になっても仕事の成果に感謝をするという形で歴史が続いているのです。
神嘗祭との違いについて
「神嘗祭」と「新嘗祭」。よく似た二つの祭祀ですが、どういった違いがあるのでしょうか。
日程
こちらは明らかに違っており、神嘗祭は10月17日、新嘗祭は11月23日です。
場所
神嘗祭は伊勢神宮、新嘗祭は宮中三殿という、皇居内にある神道の神を祀ってある3箇所で行われています。また、新嘗祭は収穫祭が全国各地の神社でも催されています。
行事内容
神嘗祭では、その一年の収穫のうち一番最初に収穫された初穂を天照大御神にお供えして五穀豊穣を感謝します。新嘗祭では、同じく収穫された初穂をお供えしますが、天照大御神だけではなく天神地祇(すべての神様)に対してお供えし、五穀豊穣への感謝をした後、天皇も初穂を召し上がります。
こうして比べてみると、いくつか明確な違いが分かりますね!
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遠いようで近い「新嘗祭」
新嘗祭って初めて聞くし、自分たちにはあまり関係のない行事のようなイメージが強いですが、勤労感謝の日として現代にも伝わり続けていることで実は私たちにとっても身近な祭祀だという事がわかりますね。
普段あたりまえのようにできている「仕事」、そして当たり前のようにでてくる「食事」に改めて感謝を示す機会ともなることができる「新嘗祭」。毎日を当たり前に過ごせることに今一度感謝し、おいしくご米を食べる日にしてみてはいかがでしょうか。
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