祭りというと、にぎやかで出店が沢山でてみんなが楽しんでいるイベントというイメージがわきますが、本来の意味は神を祀る(まつる)、もしくはそのための儀式そのものを指しています。
本来の祭りの目的は人々がイベントとして楽しむためだけではなく、どの祭りにおいても催す意味があるのですね。
その中でも大嘗祭は特に重要な意味合いを持つ祭祀です。一体どのような目的で行われるのでしょうか。
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大嘗祭の意味や由来
大嘗祭(だいじょうさいもしくはおほにえまつり、おほなめまつり)とは、天皇陛下が即位の礼の後に初めて行う新嘗祭の事です。即位の礼?新嘗祭?これだけ聞いても分かりにくいですよね。早速キーワードを紐解いていきましょう!
即位の礼
即位の礼とは、皇位(天皇陛下の位のこと)を皇太子・もしくは皇位継承者に譲った時、新しい天皇陛下が皇位を継承したことを内外に示す儀式のことを言います。新しい天皇になりましたというお披露目の儀式というわけですね。
新嘗祭
これも初めて聞く言葉だという方々が多いかもしれません。新嘗祭(しんじょうさいもしくはにいなめさい)は、一年の五穀豊穣(主食であるお米などが豊作であること)を全ての神様に感謝するお祭りです。最初に収穫された新穂を神様にお供えして感謝を伝えた後、天皇陛下自らも召し上がるという儀式が行われます。
つまり、新しい天皇陛下が即位されたその年に行われる新嘗祭のことを特別に大嘗祭といい、通常の新嘗祭と区別しているのです。大嘗祭は一世代に一度のみ。その分新嘗祭と比べても大規模なものになります。
大嘗祭の日程と場所
大嘗祭がどんな趣旨で行われるか分かったところで、いつどこで行われるのかも同時に知っていきましょう。
いつ行われるの?
大嘗祭の日程は、11月の卯の日と決まっています。特に11月23日は勤労感謝の日という祝日ですよね。この日が新嘗祭を基に設定されていることから、平成の大嘗祭はこれに合わせて11月22~23日に執り行われました。過去に遡ってみると、1990年(平成2年)、1928年(昭和3年)、1915年(対称5年)、1871年(明治4年)にそれぞれ大嘗祭が行われており、執り行われる年については天皇陛下の即位が7月以前があれば年内に、8月以降であれば翌年に行われます。
また、平成以降の大嘗祭についてですが、平成の今上天皇が生前退位を希望されたことにより2018年(平成30年)の11月に執り行われることになっています。
新しい天皇が即位されるという事は元号も変わるのでしょうね。平成の時代が幕を閉じると思うと、この時代を生きてきた身としては少し寂しくもあり、反面新しい元号を迎える楽しみもあります。
どこで行われるの?
大嘗祭は、「大嘗宮」という場所で行われます。大嘗宮は天皇陛下が神事を行う仮設の殿舎で、皇居の中に作られる建物。廻立殿(かいりゅうでん)・悠紀(ゆき)殿・主基(すき)殿の3つから成り、祭儀の7日前に着工し2日前に完成させられた後、祭事後すぐに撤去されます。
廻立殿・悠紀殿・主基殿にはそれぞれに意味があり本祭と密接な関わりがありますので、実際の儀式の内容とともにその意味も知っていきましょう。
大嘗祭の儀式
さて、では実際に大嘗祭ではどんなことが行われるのかを知っていきたいところですが、まずは廻立殿・悠紀殿・主基殿についての説明から始めていきます。
悠紀と主基について
大嘗祭が行われる年には、祭りに供える稲を出す斎田を選ぶため、悠紀殿と主基殿に対応するそれぞれの国・郡を役人が決めます。悠紀の国は東日本、主基の国は西日本から選ばれるのですが、毎回違うため2018年もどこになるかは定かではありません。
廻立殿について
廻立殿とは、大嘗祭当日に天皇陛下が沐浴をし斎服を着るための場所です。
儀式の内容について
ではいよいよ具体的な祭りの内容です。
大嘗祭当日の夜になると天皇陛下はまず廻立殿に入り沐浴をして身を清め、斎服に着替え悠紀殿に入ります。その後悠紀の国でとれた稲を神にお供えし神と直会し、献じたお供えを天皇陛下御自らが食べます。
一連の儀式が終わったら廻立殿に戻り、次は主基殿に入り悠紀殿と同じ儀式を行います。
これが大嘗祭での本祭の流れとなります。
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目にすることが貴重な「大嘗祭」
以上のように、大嘗祭は新しい天皇が即位する時には最も重要な祭事の一つだといわれています。
私たちも、これから先大嘗祭を目にする機会に一体何度巡り合うでしょうか。もしかしたら、2018年以降その機会に恵まれることはない可能性だってあるのです。
見る機会に恵まれるなら、是非その様を見てみたいと思う祭事の一つですね。
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