ついついおせち料理ではメインディッシュに目がいきがちですが、最後のお重にこそ目を向けて頂きたいです。お正月の野菜不足を解消する為だけに煮しめが詰められているのではありません。
煮しめに使われている野菜には、ひとつひとつ意味を込められているのはご存知でしょうか?使われている全ての野菜に、食べる人への健康や繁栄の願いがあるのです。
これを読んだあとは、煮しめの野菜をしげしげと見ながら、厳かに料理をし、意味を文字通り噛み締めることになります。最初からこのように書いてはいますが、作り方はいたって簡単です。基本的に最終段に詰められる料理は煮しめや筑前煮のみです。
今回は、煮しめと筑前煮の作り方をそれぞれご紹介しますが、使われる野菜の意味や下処理の仕方も合わせてお教えします。
Contents
煮しめの作り方
各地域で呼び方や入れる内容は変わってくると思いますが、一般的に使われている野菜を使った煮しめと鶏肉の入った筑前煮の作り方をご紹介します。ちなみに、煮しめは野菜だけを具材として煮込みますが、筑前煮は鶏肉を入れて煮る前に具材を先に炒めます。お好きな
方をお作りください。
煮しめ
〈材料〉
・にんじん(1本)
・干しシイタケ(5個)
・里芋(5個)
・たけのこ水煮(ひとつ)
・ごぼう(1本)
・れんこん(大1個)
・こんにゃく(1枚)
★和風顆粒だし(小さじ1)
★醤油(大さじ2)
★酒(大さじ2)
★みりん(大さじ1)
★砂糖(少々)
〈作り方〉
1.干しシイタケは前日から水で戻しておきます。(水はシイタケが浸るくらいに。戻した水は残しておいてください。)
2.材料をそれぞれ適当に切ります。(切り方は後ほどご紹介)
3.鍋にシイタケの戻し汁200mlと★の調味料を煮立たせます。
4.3に具材を入れて、中火にしたら蓋をして煮ます。
5.時々焦げないようにかき混ぜてください。
6.具材に火が通ったら完成です。
〈ポイント〉
シイタケの戻し汁は量を調節しながら入れてください。水分が足りないようであれば、水を加えて調節した後、顆粒だしで味を整えてください。
筑前煮
〈材料〉
・にんじん(1本)
・干しシイタケ(5個)
・里芋(5個)
・たけのこ水煮(ひとつ)
・ごぼう(1本)
・れんこん(大1個)
・こんにゃく(1枚)
・鳥もも肉(2枚)
★和風顆粒だし(小さじ1)
★醤油(大さじ2)
★酒(大さじ2)
★みりん(大さじ1)
★砂糖(少々)
〈作り方〉
1.干しシイタケは前日から水で戻しておき、戻し汁は残しておきます。
2.野菜(切り方は後ほどご紹介)は適当な大きさに、鳥もも肉は皮を取って一口大に切ります。
3.温めた鍋に油を薄く引いて、鳥もも肉を色が変わるくらいまで炒めます。
4.鳥もも肉を一度取り出し、他の具材を入れて炒めます。
5.具材におおよそ火が通ったところで、鳥もも肉を入れてシイタケの戻し汁150mlと★の調味料を入れて混ぜながら具材に煮含めます。
6.水分が無くなったら完成です。
〈ポイント〉
鳥もも肉の皮はつけておいても構いませんが、取った方が歯ざわりが良くなり、他の食材とのバランスも良いです。具材を炒める際はくれぐれも焦げないように、また形を崩さないように注意してください。
野菜に込められた意味と飾り切り
野菜の切り方を動画を使ってご紹介します。全て動画の通りに切る必要はありませんが、2種類でも飾り切りをしておくと、煮物を華やかに見せることができますよ。飾り切りをしないものもありますが、いずれにしても厚さを揃えて切ることを心がけてください。
にんじん
にんじんは、飾り切りで梅の花の形にします。梅はおめでたいことの象徴です。型抜きは楽しい作業なので、お子さんと一緒にしてもいいですね。
おせち飾り切り_ねじり梅の作り方
シイタケ
シイタケは亀の甲羅に見立てて切ると縁起が良いとされています。切り落としたシイタケは、お吸い物の具材にしましょう。
しいたけの花切り・亀甲
里芋
小芋、孫芋と芋が次々と成長する様から、子孫繁栄を意味しています。こちらもシイタケ同様六甲に形づくると縁起が良いです。シイタケは花切りにして里芋を六甲切りにするというのもひとつですね。
煮しめの飾り切り-里芋の六方むき
たけのこ
たけのこは成長の早い様子から、すくすくと育つようにという願いが込められています。煮しめや筑前煮において飾り切りはありません。食べやすい大きさのいちょう切りがおすすめです。
ごぼう
ごぼうは細く長く幸せになりますようにという意味があります。普通の幸せがただ長く続くようにという純粋な願いですね。切り方は特にありませんが、大体他の食材と長さが同じになるように切ってください。
れんこん
れんこんは先の見通しがつくようにという縁起物です。切り方は花の形にするのが好ましいです。難しいようでしたら、そのまま輪切りにしても構いません。
【お正月のための飾り切り】花レンコン
こんにゃく
手綱に見立てたこんにゃくは、武士であった時の名残だと言われております。手綱を引き締めるように心を引き締めて、戦に立ち向かえるようにという意味があります。食材の中で一番飾り切りがしやすいと思いますが、ひっくり返す時にこんにゃくが切れないように気をつけてください。
おせち飾り切り_手綱こんにゃくの作り方
重箱の大トリの煮しめは心をこめて
煮しめと筑前煮の作り方と具材に込められた意味をご紹介しました。
毎年食べていた煮しめにそんなに意味が沢山あるとは思いもしませんでした。
三重目に詰められた煮しめには、様々な具材が一緒に煮込まれている様子から、家族が仲良くいますようにという願いが込められています。
家族や大切な人と食べることで、仲が深まりそうですね。
その人たちを思いながら作る煮しめはきっと優しいが味がしますよ。
次のお正月は是非とも手作りして欲しい一品です。
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