「芒種」と書いて、「ぼうしゅ」と読みます。日本人は古来より、自然界の様子を元に、独自の暦を用いてきました。「芒種」もそんな自然暦のひとつで、中国から伝わった「二十四節気」のひとつです。「二十四節気」は、太陰暦を使用していた時代に、季節を現す工夫として考え出されたもので、一年を二十四等分してその区切りと区切られた区間に季節を表す言葉として使われたものです。
今回は、そんな「二十四節気」のひとつである「芒種」について詳しく学ぶとともに、「芒種」にはどんな行事があるのかを掘り下げていきたいと思います。
「芒種」の由来
「芒種」は、四季を太陽の見える位置からさらに二十四に区分した「二十四節気」の九番目にあたる時期で、「小満」と「夏至」の間にあたります。毎年6月5日か6月6日頃で、年によって違います。また、次の「二十四節気」である「夏至」の前日までの期間をさします。というわけで、2018年の芒種は、6月6日(水)にあたります。
言葉の由来ですが、「芒(のげ)ある穀類、稼種する時なり」という言葉から来ています。
「芒」とは、植物が実ったときに果実の先端にできる針状の突起のことです。具体的には、米や麦などイネ科の植物のことをさします。「稼種」とは「種をまく」ことを指します。「この時季に、稲や麦などの種を撒くといいよ」、つまり「種まきの時期」ということになるわけです。撒くものがイネであれば、田植の時期にあたるわけです(現在の田植えはこれよりも少し早く行われています)。
「二十四節気」には、さらに各時期を更に細かく三つずつに分け、七十二に区分する「七十二侯」という考え方もあります。それによると、「芒種」は以下の三つに区分にすることができます。
初候:蟷螂生(かまきりしょうず) 6月6日~10日頃
蟷螂とは、かまきりのことを指します。かまきりが卵からかえる時期を指します。
次候:腐草為蛍(くさりたるくさ ほたるとなる) 6月11日~15日頃
蛍が見られる時期です。腐った草から蛍が生まれるという俗信が元になっています。
末候:梅実黄(うめのみ きばむ) 6月16日~21日頃
梅の実が黄色くなって熟す時期にあたります。梅干や梅酒を作るのに最適な時期になります。
「芒種」の行事・風習、やっておきたいこと
「芒種」の間に行われる主な行事として、
「稽古はじめ」(6月6日)
「時の記念日」(6月10日)
「父の日」(6月第三日曜日)
などがあります。
また、この時期は全国的にも夏祭りが盛んになる頃で、
「YOSAKOIソーラン祭」(北海道)
チャグチャグ馬コ(ちゃぐちゃぐうまっこ・岩手)
荏原神社天王祭(えばらじんじゃてんのうさい・東京)
山王祭(富山)
などの祭りが盛大に行われています。
三候の「腐草為蛍」にもあるように、この時期は蛍を観察するのに最適な季節です。是非「蛍狩り」をお楽しみたいですよね。また「梅実黄」とあるように、梅を飲食するのにも最適な季節です。梅干、梅酒、梅ジュースなど、梅づくしなんていかがでしょうか。
~Discovery Japan :「京都二十四節気」芒種~
京都の「芒種」の風景を楽しめます。
「芒種」は夏の始まり
以上、「芒種」の由来、期間、行事・やっておきたいことをまとめてみました。
最初に見てきたように、「芒種」は、本来種まきや田植えの時期を表す言葉を指していましたが、種まきや田植えを終えると農家にとって忙しい時期になることから「さあ、これからは休む暇がなくなるほど忙しくなるぞ~」といった気合を入れる時期という意味合いもあったようです。また、この時期は本格的な梅雨の季節に入り、五月雨が降り始める時期と重なります。湿気対策やレイングッズの準備もしておくとよいでしょう。
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