いつもお世話になっている方々へ贈り物をする、お歳暮。どういう意味があって贈り物をするのか、ご存知の方は年々少なくなっているのではないでしょうか。若い年齢層は特に、だんだん贈らなくなってきていることすらあるかもしれません。しかしそうなってしまったのは、お歳暮がどういうものか知らないからではないでしょうか。
では、お歳暮という風習は元来どのようなことがきっかけになって始まったことなのでしょうか。
贈る相手は?時期は?どんなものを贈ればいいの?など、お歳暮についてきちんとした知識を身につけていきましょう!
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お歳暮の意味とは?
日本には何かの折に誰かに贈り物をするという風習があり、大きく「お歳暮」と「お中元」の2つがあります。そしてその中でもお歳暮は、歳(=年)暮(=暮れ・おわり)、つまり年末にする贈り物のことです。
どちらも相手に感謝や敬意を示す素敵なならわしですよね。
いつ頃からこのようなことが始まったのでしょうか。また、お歳暮とお中元にはどのような違いがあるのでしょうか。
「お歳暮」は○○のお供え物だった!
元来は年末になると、お正月に先祖を迎え入れるためにお供え物を準備していました。そのお供え物は、分家した人や嫁いでいった人が本家に贈るものとして準備していた、すなわち親族内で行われていたならわしだったのです。
これが元になり、だんだん多くの人が1年間お世話になった人に感謝の気持ちを込めて贈り物をするようになり、お歳暮という風習がうまれました。送る相手は親族にとどまらなくなり、上司や習い事の先生、知人や友人、結婚後の場合は互いの両親など、感謝を示したい人に対しては広く贈り物をするようになったのです。
始まった当初は、年の暮れにお世話になった方々に贈り物を持参して回ったので「歳暮回り」と呼んでいました。そしてのちに贈り物自体を「お歳暮」と呼ぶようになったのです。
お中元との違いとは?
「お中元」も、お世話になった方へ贈り物をするという意味合いはお歳暮と一緒です。お歳暮との違いはというと、贈り物をする時期にあります。
お中元は、年明けから半年間お世話になった方々へのお礼として贈るものなので、時期は大体7月の頭から15日までとされています。それに比べてお歳暮は年末の風習でしたね。この時期の差がお中元とお歳暮の違いなのです。
お歳暮の時期について
「お歳暮」は年末に行われる風習ですが、具体的には何月のいつ頃贈ればよいのでしょうか。
基本は12月の半ばがベスト
お歳暮を贈る期間については地域によって差があります。具体的な時期の差は、
・関東地区、沖縄県は12月初旬から20日まで
・上記以外の地域は、12月10日から20日まで
とされています。
どの地域に贈るにしろ、12月の10日から20日の間にであれば良いですね。年の暮れはバタバタすることもあり、最近は少しずつ送る時期が早まっている傾向にあります。
もし遅れてしまったら?
この期間内に贈るのがお歳暮のマナーという事になりますが、何かの理由で遅れてしまう場合もあるかもしれません。そのような場合でも20日以降はどこも慌ただしいので避けた方が良いといえます。お歳暮の期間を逃してしまった場合はお歳暮の代わりに違う形で贈り物をすることができますので、焦らずマナーを守って贈りましょう。
・年明けから1月7日まで
年明けから1月7日までを「松の内」といいます。この時期に送る場合は「お年賀」として贈りましょう。
・1月8日から2月4日(立春)まで
この期間に送る場合は、「寒中見舞い」もしくは目上の方へは「寒中御伺」として贈りましょう。
お歳暮のマナー
さて、それではいよいよお歳暮選びです!最初は何を選んだらよいのかわからないことも多いかもしれません。
お歳暮を贈る場合、基本的には「これを贈らなければならない」というようなルールはありませんが、いくつか避けた方がいいもの、また贈らない方が良い人など気を付けたいポイントがありますので注意が必要です。
贈らない方が良いものベスト5!
高額な品物
いくら大変お世話になったからといって、何万円もするような品物はかえって相手に気を遣わせてしまいますし、お歳暮は毎年の風習であり、前年よりも値段の低いものを贈るという事も相手に対して失礼にあたります。
お歳暮の大体の相場は、3,000円~5,000円程度。無理のない範囲で感謝の気持ちを伝えましょう。
インナー類、靴下
このようなものを贈ってしまうと、「相手がみすぼらしい格好をしている」という意味合いを含むことになってしまいます。特に目上の人に送ってしまうと大変な失礼にあたりますので絶対にやめましょう。
刃物類
これは、縁を切るという意味が含まれてしまいます。
1年の感謝を示す贈り物ですから、この意味合いを含む贈り物はふさわしくありません。
櫛(くし)
くしは、「く=苦」、「し=死」を連想とさせてしまうため避けた方が無難です。あまり贈られないと思いがちですが、おしゃれ好きの女性などにお歳暮を選ぶ場合は覚えておくと良いでしょう。
現金や商品券
金品を目上の人に贈ることは失礼にあたるという事はなかなか知られていないことかもしれません。どういうことかというと、「お金をあげる」ということは上から目線にあたるのです。お歳暮は目上の方に贈る場合が多いので、この選択はタブーです。
お歳暮を贈ってはいけない相手
公務員
学校の先生や市役所・区役所等職員、政治家などの職についている人は、お歳暮を受け取れません。公務員の倫理規定上で利害関係のある相手からの贈答品を受け取ることを禁止されていますので、送っても丁重にお断りされてしまいます。利害関係があってもなくても、結局収賄の疑いをかけられる可能性を避けるため、断れる場合がほとんどです。
方針として贈答品を受け取らない企業
会社内での贈り物のやりとりを禁止している企業もあります。出世や給与などの利害関係が直結している現場で、物品のやりとりが公平な判断の妨げになるのを防ぐためです。
喪中の相手
この場合、お歳暮はお祝い事ではなく感謝を示すものですので贈ってはいけないわけではありません。しかし相手の心情を察するに忌明けの四十九日以降に送るようにするほうが良いでしょう。その場合もお祝いをイメージさせる紅白ののしは避けましょう。
お歳暮の歌
品物は相手のことを思って選び、感謝の気持ちを伝えましょう
一年の感謝の気持ちを伝えるものですから、相手にも喜んでもらえる品物を贈りたいですよね。喜ばれるものを贈るためには、相手の趣味嗜好や家族構成など品物選びに参考となりそうな情報を事前に入手しておくのも良いですね。あまり形式ばったものではなく、純粋に相手が喜びそうなものを選びましょう。
また、お歳暮を贈る期間についても気を配りましょう。特に年末年始は誰しも慌ただしくなりがちです。早すぎたり遅すぎたりするとかえって受け取る側にとっても負担になりかねません。
色々と気遣うこともお歳暮ですが、この風習があるおかげで改まって日頃の感謝を相手に伝えることができます。
相手が喜ぶ顔を想像しながら、つぎの年末には是非お世話になったあの人にお歳暮を贈ってみてはいかがでしょうか。
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