七夕に歌う歌といえば、「ささのはさらさら~」という歌ですよね。この歌の正式名称は「たなばたさま」といいます。子供時代に歌ったことがある人も多いのではないでしょうか?私も毎年七夕に、幼稚園のお遊戯で歌ったのを覚えています。
しかし「たなばたさま」の歌詞には「のきばにゆれる」「きんぎんすなご」など、古い言葉がいくつか出てきますよね。これらの歌詞にどんな意味があるのか、疑問に思ったことはありませんか?
今回は、そんな七夕の歌の歌詞や意味について詳しく見ていきたいと思います。
七夕の歌の意味を紐解こう!
「たなばたさま」は、ゆったりしたメロディーと柔らかな歌詞で七夕の夜の雰囲気にぴったりな童謡です。この歌には一体どんな意味が込められているのでしょうか?早速、歌詞の意味を紐解いていきたいと思います。
まず、「たなばたさま」の歌詞をご紹介します。
「たなばたさま」
作詞:権藤 はなよ
補詞:林 柳波
作曲:下総 皖一
「ささのはさらさら のきばにゆれる
おほしさまきらきら きんぎんすなご
ごしきのたんざく わたしがかいた
おほしさまきらきら そらからみてる」
歌詞の一番は有名ですが、実は歌詞は二番まであるんです。
「ささのは」は笹の葉、おほしさまは「お星さま」など、ほとんどは理解できる言葉ですが、「のきば」「きんぎんすなご」「ごしき」はあまり聞いたことがないですよね。これらがどういう意味なのかを、それぞれ見ていきましょう。
のきば
のきばを漢字で書くと「軒端」となります。「軒」とは、家から飛び出している屋根のことをいいます。その端、つまり「軒の端」は「屋根に突き出た先端」という意味になります。
つまり「笹の葉さらさら 軒端に揺れる」とは、「屋根の端にちょうど笹の葉が当たり、その葉がさらさらと揺れている」という意味になるんですね。
実は、‟笹の葉が擦れ合う音には神様が寄ってくる”という言い伝えがあります。この歌詞には「神様が自分たちの家にやってくるように」という願いが込められているのかもしれません。
きんぎんすなご
きんぎん・すなごはそれぞれ「金銀」「砂子」と書きます。砂子とは、金箔や銀箔を砂のように散りばめたものです。色紙や襖(ふすま)に貼ってあるのを見たことがある人もいるのではないでしょうか?
画像を見てわかるように、キラキラと輝く様子がまるで夜空の星のようですよね。この砂子が天の川の星に似ていたため、歌の歌詞に使われたのでしょう。
よって「お星さまきらきら 金銀砂子」は、「まるで金銀の砂子を散りばめたように、空一面にきらきらと星が輝いている」という意味になります。
ごしき
ごしきとは「五色」、すなわち短冊の5つの色である‟青、赤、黄、白、紫”を意味しています。
七夕の短冊では、昔中国から伝わった「五行説」という思想を参考に、この5色の短冊を使うことになっています。五行説には「全ての物は‟木・火・土・金・水”の5つの要素で成り立っている」という考え方があります。この5つの要素になぞらえた5色が、今の短冊の色に採用されているのです。
また、この5色には、
・青:自分を高め、成長できる
・赤:健康に過ごせる
・黄:友達関係や人間関係をよくする
・白:決心したことを最後まで守り抜く
・紫:学力、成績を上げる
という意味がそれぞれ込められています。
「五色の短冊 私が書いた」の歌詞には、短冊に込められた色への願いが表れているんですね。
また、「お星さまきらきら 空から見てる」の歌詞から、お星さまが短冊を飾る子どもを静かに見守っている様子が思い浮かびます。
このように、「のきば」「すなご」「ごしき」には、どれも七夕にちなんだ意味が含まれているのです。
また、今回は「たなばたさま」をメインに解説しましたが、他にも七夕の歌として、
・たなばたまつり
・ほしまつり
・きらきら星
などがあります。色んな七夕の歌を揃えたい!という方は、是非参考にしてみてください。
では、こちらの動画で歌のおさらいをしてみてください。
【♪うた】たなばたさま(七夕様)
「たなばたさま」に込められた想い
「たなばたさま」は簡単な歌に思えて、実はとても奥が深い歌なんですね。特に「のきばにゆれる」に込められた「神様が宿るように」という言い伝えは、風流があってとても素敵だと思いました。
いずれにしても、この歌には、「人々の願いが叶い、幸せになれますように」という想いがこもっているのかもしれません。
意味を知らないで歌うのと意味を理解した上で歌っているのとでは、また違った歌い方ができるのではないでしょうか。
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